片倉穰『朝鮮とベトナム 日本とアジア』

出版情報

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副題ひと・もの・情報の接触・交流と対外観
著者片倉穰
出版社福村出版
出版年2008
ISBN978-4-571-31013-3
価格¥4500(2008年)

内容

著者が2000年代に発表してきた随筆や論文に補正、加筆を行ったものに加えて、新規論文5編を加え、大きなテーマに分けて3部構成として論文集である。

収録された論文は、ミクロの視点で文献資料を手堅く扱ったものが中心。

目次

  1. まえがき
  2. 第I部 朝鮮とベトナム ― 前近代
    1. 第1章 崔致遠著「補安南録異図記」
    2. 第2章 「趙完璧伝」の一研究
    3. 第3章 済州島吏民のベトナム漂流記録
    4. 第4章 花山李氏の族譜試論 ― 朝鮮のなかのベトナム
    5. 第5章 阮朝の文献にみえる高麗人参
  3. 第II部 日本とアジア ― 前近代
    1. 第6章 魏志倭人伝とベトナム ― 入れ墨の比較史的考察
    2. 第7章 為朝南行伝説と義経北行伝説 ― 二人の英雄と沖縄・アイヌ
    3. 第8章 趙完璧が伝えた京都の徐福祠(寺)
    4. 第9章 彦根のなかの朝鮮(その一) ― 彦根藩・朝鮮使節と「被虜女人」
    5. 第10章 彦根のなかの朝鮮(その二) ― 宗安寺黒門の由来
  4. 第III部 日本の自治体とアジア
    1. 第11章 日本の姉妹自治体のなかのアジア
    2. 第12章 日本の自治体と東南アジア ― 姉妹都市・友好交流活動をめぐって
  5. 付論
    1. A 織田信長と黒人 ― 信長に仕えた弥介
    2. B 日本のなかのモンゴル ― 続・蒙古襲来の影響に関する研究
  6. あとがき

コメント

この本で採り上げられている趙完璧という人物は非常にユニークな人生を送っているので、そのうちドラマかなにかで採り上げられるといいな、と思うことがあります。

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2010/04/18 新規

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ブリュノ・ダジャンス『アンコール・ワット』

出版情報

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副題密林に消えた文明を求めて
シリーズ「知の再発見」双書 48
著者ブリュノ・ダジャンス
訳者中島節子
監修石澤良昭
出版社創元社
出版年1995
ISBN978-4-422-21098-8
価格¥1600(2008年)

内容

図版と写真の豊富なアンコール・ワットに関する概説書。西洋のアンコール「発見」史を中心に、アンコールをめぐる文化現象、遺跡保存技術の発展を解説している。

なお、監修者による1990年代の状況を簡潔に述べた序文が付されている。それによると、紙幅の関係による原書テキストの割愛と、読者の理解を助けるための加筆が行われている、とのこと。

コメント

北川香子『カンボジア史再考』や笹川秀夫『アンコールの近代』を読む前と後で、全く理解の方向性やレベルが変わってしまうタイプの本です。どちらが良いのか未だに判断はできかねていますが。

リーダビリティは大変に良好。

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2008/05/31 新規

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北川香子『カンボジア史再考』

出版情報

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著者北川香子
出版社連合出版
出版年2006
ISBN4-89772-210-1
価格¥2500(2006年)

内容

主な著述対象はポスト・アンコール期のカンボジアであるが、カンボジア史全体を捉え直すことを目的としている著作。問題点の提示、カンボジア史の地理的範囲設定から書き起こし、カンボジア史の主なトピックについて過去の史学史の状況などを解説した前半部分と、専門であるポスト・アンコール史の概要説明を行う後半部分に分かれた構成となっている。

セデスに代表される植民地史学が未だ残るカンボジア史で、状況整理と問題点の抽出を通して、その軛から脱却しようとする試み。

コメント

高校時代の授業で、カンボジアがいきなり現代史に再出現した時の違和感があったのですが、それを歴史学の問題として提示してくれた本です。

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2008/03/20 新規

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小泉順子『歴史叙述とナショナリズム』

出版情報

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副題タイ近代史批判序説
著者小泉順子
出版社東京大学出版会
出版年2006
ISBN4-13-026126-6
価格¥6200(2006年)

内容

タイ近現代史に関する論文集。副題通りに、歴史・国土・社会を“かくあるべき”姿へと造りあげた国家タイの変容プロセスをテーマごとに解析した論考が中心。史料における“史実”の恣意的な創造については、ただ批判するのではなく、その人物の立場や時代を考慮して、何故そのような作為がなされたのかという視点から考察している。

また、アンナ・レオノーウェンスの再評価や、タイシルクの“伝統”形成など、広い範囲に渡って題材を選んでいる。

コメント

目的のために過去の記述を変えたりする行為を“かくあるべき”化としてしまいましたが、若干乱暴な比喩かもしれません。

それにしても、この本はもっと読まれてもいいと思う。ググってもなかなか書評が出てこない‥‥。

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2008/03/09 新規

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